グローバルオンラインインターンシップ参加者の声:
須藤寛華さん


タンザニアの国際協力オンラインインターンシッププログラム(NGO分野)に参加した寛華さんからのフィードバックをいただきました😊


参加プログラム :
国際協力オンラインインターンシッププログラム(NGO分野)
国 : タンザニア
期間 : 2週間
参加した国・分野を選んだ理由 : 2週間のインターンシップという条件の下でタンザニアを選択しました。分野は将来のキャリアを考え、NGOなどの非営利団体によって行われる社会福祉分野(とりわけ貧困解決のキーと言われる教育分野)を選択しました。


インターンシップの内容を簡単に教えて下さい!
私がインターンシップで行った内容は、主に二つ分類されるものでした。一つは、毎回出されるAssignmentsを行い、それを基にディスカッションしタンザニアの社会問題や団体の取り組みについて理解を深めるというセッション、もう一つはヴァーチャルインタビューに参加する機会を頂き、そこで聞いた話を基に日本のケースの中で何か将来的に参考となる事例、アイディアはないか提案をするというものでした。団体の代表であるお二人の方がそれぞれ担当してくださいました。

第一のセッションでは、私の関心に基づきテーマを設定して下さっていたようでした。それらは主に、①NGOの運営に関して(Different positions of NGO /Challenging of running NGO/Ethical views : What should be respected/ protected?)➁ポストコロニアリズムに関して(What is post colonialism?/ What does postcolonialism cost?) ③学校における子どもの心理的な困難( What are typical challenges at school?/ What is causing these challenges?/ What are the long term effects on a child’s development?/ How can you fight/avoid these challenges? /What is self confidence? / How can you destroy someone’s self-confidence?/ How can you rebuild it?)④家庭内暴力について( What is domestic violence/Which form exists?/ What can you do to fight domestic violence?/The impact of DV on society and community)などでした。

第二のセッションでは、私の教育問題に関する関心から、3児の母である方にインタビューをする機会を頂きました。このインタビューを通して取分け焦点が当てられたのは、「見えないところで貧困やDVなどに苦しむ子どもの発見と、広く子どもの発達に貢献するコストのかからない方法」「女性の経済的自立のために始めるビジネス」の重要性でした。それゆえ、私のミッションとしては、日本の中でこれらに関する参考案件がないか調べ、伝えることとなりました。尚一つ目に対しては、桑山紀彦氏によって紛争地域のNGO等での使用が推進されている「Phototherapy」、二つ目に関してはMoshiにおいてバナナが極めて身近に育てられていることから日本で少しずつ話題になっているバナナペーパー作りについて紹介しました。


インターンシップを始めるに当たり不安なことはありましたか?

語学力は多少不安でした。しかし、聞き取れなかったり理解できなかった箇所は、質問すれば丁寧な答えを頂けたため、特に問題となりませんでした。


World Unite!のスタッフのサポートはどうでしたか?

問題が起きた時にはすぐ対処できるよう、常に控えていてくださっていたことは大変心強かったです。また質問には丁寧に答えてくださり、大変参考になりました。様々にサポートをしてくださったこと、とても感謝しています!


楽しかったこと、勉強になったこと、失敗談など
毎回のセッションはとても学びになることで、とてもここに書ききれないほどであると感じます。うち最も強く学んだことは、私が関心を寄せていた教育問題は決して単一の課題ではなく、貧困や女性の地位、DV、政府の腐敗や教師の職業選択自由の欠如、文化的背景など複雑に絡み合った総合的な問題であるということです。

ごく一例ですが、例えば私はインターン前にタンザニアの政府は「小学校無償化」していると聞いていたため、少なからず最低限の教育は保障されている状況であると予測していました。しかし実際にインターンにおいて話を聞いてみると、必要な持参物(制服やバッグ、筆記用具、食事など)には費用がかかり貧困家庭は数か月もかけ何とか準備出来たり出来なかったりとしている現状があり、また子どもの労働力の必要性からも学校へは行かないことを選択するケースをしばしば伺いました。さらに教師は自主的に教師になったわけでなく、成績的な基準で政府から指示されているためやる気が少なく(他の職業においても同様!)またBAも持っていない人が多いため質が良くないこと、年功序列の文化的背景により基本的に生徒が質問できるような雰囲気ではなく抑圧的であること、一クラス100人近くも生徒が密集しており、学校は性行為の場ともなり得ながらも対処できないこと、教室の水漏れ等の修繕には保護者に集金が要されること、さらに上位段階の学校になるにつれ金銭は挙がる為殆どの人は小学校以上に行くことには障壁があり、結果貧困から脱しにくい、などという問題も存在していることを伺いました。貧困から抜けるには教育が鍵であるとよく言われますが、その教育のためにも経済的基盤や市民の民主的立場の向上や保障は必要であり、これは鶏と卵の関係のように解決策の始点が見つけ出しづらい問題であるのだと実感しました。最もその中でNGOのような非営利団体の意義は再度見直されているのだとも感じました。

その他にも幾つかピックアップするとすれば、例えば将来のキャリア候補の一つとして考えているNGOやNPOに関して、一口にNGO、NPOといってもその性質は国によって全く違うということに驚きました(例えばタンザニアのNPOは事業に還元するしないに関係なく一銭でも金銭を稼ぐことは違法で、全てはドネーションから資金を集めるとのことでした)。またその集金方法や広報の倫理性も大変興味深く、例えば「かわいそうな子どもの写真」を広報に用いることは結果多くの資金を集めやすいですが、後にその子どもがその事実を認知し、自尊心を傷つけてしまうことに繋がったり、周囲から差別の目を向けられることに繋がり得るため、きめ細やかな配慮の規定があるのだと知りました。

私は働くことを通して自身の心情に何か成長があれば嬉しいと常に感じています。そういった意味でも、今回のインターンは支援メンバーや現地の人たちの心情に胸が熱くなったり、社会課題解決の困難さとその意義に振り返り心躍らされたりなど、大変有意義な時間であったと思います。


参加して良かったと思うこと
NGOへの就職を視野に入れていたため、その運営方法や倫理性、意義などを知ることができ、ますます魅力を感じられたためとても良かったと感じています。今後の選択において有効な知見を得られました。

沢山のことを実例を通して学び、それらは自身の大学における研究テーマに繋がる面もありますが、それ以外にも、例えば今回より理論的な「ポストコロニアリズム」についてディスカッションしたことをきっかけに、実はこの傾向は身近に起こっていることだと知り、自身の日常の様々な面で無意識に行っている「優劣の判断」の存在に気づくきっかけを得ました。また人を助けようとする動機自体は善良でも、手段を間違え他者の自尊心を傷つけ得るものであればそれは間違えであるとも知りました。私は大学にてボランティアセンターを運営しているので、そこにも活かされる見識だと感じています。

その他にも、タンザニアの事例を知れたことは、今後アフリカ諸地域に関する見識を広める上で良い基盤になるのではないかなと感じています。


今後の目標や進路

今後は院進学をし、発展途上国における教育に関する研究を行っていくつもりです。その後の就職としては、海外支援系の独立行政法人やNGO、NPOを視野に就活を行っていけたらと考えています。


これから参加される方、参加を検討されている方にメッセージをお願いします!
私がこのインターンに参加した目的は、夏休み期間を利用し、将来的キャリアの選択肢として考えていたNGOを内側から見ること、サハラ以南アフリカにおける教育事情に対する視野を得ること、そして学んだことを勉強としてだけでなく自身のライフ習慣の中で活かせるように昇華することでした。
今回のインターンプログラムを通し、この目標は現在進行形の3つ目を含め全て達成されていると感じています。もし、ご自身の目的が明確になっている場合、World Unite! Japan様にインターン先団体との適合性をお聞きし、かつ現地のメンバーに自身が何を知りたくて参加を希望しているのかお伝えした場合、恐らく時分に最もあった形でインターンを遂行できるよう心強いサポートを頂けると思います!勤務時間なども相談の上緩く決まるので、そのような柔軟性はこのプログラムの魅力の一つであったと感じます。
また、通常、非営利団体でのインターンは3か月から1年を要するといったケーズが多いですが、ここでは2週間という比較的短期間のインターンながらとても学びの詰まった時間を過ごすことが出来たこともお勧めできるポイントです。
そして何より、現地で働く人の経験や情熱を直に感じることができ、よい刺激となりました!

唯一、私が参加前に予想していたことと実際の勤務をして違いがあったことを挙げるとすれば、私が提示していた目標に学びの要素が多かったのと2週間という短期間のためかもしれませんが、「勤務」より「学習」の面が強かったということです。現地の社会問題把握と団体の活動内容をきめ細かに把握しそれを基にメンバーと同じ立場で活動する、ということは、恐らく2週間という時間の限界がある中では、工夫無しでは難しい面があるのかもしれません。しかしながら、何らかのアクション(例えば広報など)を起こしたい際はその旨を事前に伝えておくこと、或いは、私が実際に後半の期間で行ったように、学んだ問題に対して日本のケースと比較し、何らかの改善案となるアイディアを紹介するという形を通し、インターン先団体に貢献するという手段は十分得られるかもしれません。

タンザニアは、参加決意前の私にとってはかろうじて国旗が分かるような「遠い国」でした。しかし、今ではより良い社会や生活の為にパッションを持って生きている人たちの声や顔、画面越しに広がっていたバナナの木々やのどかな街並みなどが生き生きと思い描かれます。対話や調査を通し、現実を多く把握し、自身の視野が広がったということは自信をもってお伝えすることが出来ます。
もし私の体験内容や感想が、皆様の新しい扉を開ける一歩への一助へとなりましたら、とても嬉しく思います。